円安の進行はむしろ日本再興のきっかけになり得る。中長期的には望ましいかもしれない。
最近円安がとてつもないスピードでドンドン進んでいる。
1ドルは130円に迫り、かつての民主党時代、円が80円前後まで上がった時との差が激しい。
かつては「有事の円買い」と言われており、今回のロシアのウクライナ侵攻のような世界情勢の不安定なときには積極的にリスク回避で円が買われることが多かったのが状況が全く変わっている。
円安は確かに資源やエネルギーの輸入において高くついてしまいコスト増加につながる。実際にコスト増加により、食料品はじめ、モノの値段は日々上がっており、極端なインフレ状態である。
しかしながら、円安は輸出にとっては非常に有利になる。
経済学では「近隣窮乏化政策」という用語がある。
これは自国の為替レートを切り下げることによって、輸出が増え自国の産業が盛んになり雇用が増える。そしてその代償に、輸出される側の国は逆の事態が起こり、雇用が減って貧乏を強いられる、という事態を表している。
確かに今は円高が長引いたときの影響により、海外への工場などの移転が起こっており、国内産業が空洞化しているので、たいして輸出は増えない、という声はよく聞く。
しかし、円安傾向が続けば海外移転の逆転現象が起こり、日本で生産した方が安いので工場などの生産拠点がどんどん日本に戻ってくるだろう。
そして何より日本の労働者の質というのは非常に高い。
識字率はほぼ100パーセントだし、義務教育も行き届いているからだ。
つまり質の良い労働者を円安により安く雇えるんだから、近いうちに海外から生産拠点が日本に回帰するのは損得問題からいっても自然である。
そうすると雇用は当然増え、輸出も増えるので中長期的には経済にとっては非常なプラスとなる。