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水槽の脳の思考実験

 

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哲学において、「水槽の脳」という思考実験がある。

 この思考実験は哲学者であるヒラリー・パットナムにより考案されたものである。

 

その思考実験の概要はこうだ。

私たちが現実であると認識し、過ごしている人生で見たり聞いたり感じたりするもの全ては実際には外側の世界に存在していない。

そうではなく実は、何者かにより特殊な培養液に浸された脳に対し、機械的な装置により電極の電気刺激を与え、その刺激によって見ている自分の脳内のイメージに過ぎない、と想定する実験である。

 

この思考実験の肝は、仮にそうだとしてある日突然その脳が目覚め、実験室で溶液に浸されている脳を自分自身で認識したとする。

しかし、目覚めて見たその実験室の風景が本当に存在しているどうかも確かめようがない。

その風景自身もまた、どこかにある別に電極でつながれている自分の脳が見せられている脳内のイメージに過ぎないという可能性が否定できないからだ。

 

つまり今見ていると思っている現実にせよ、それが偽りにせよ絶対的に確かめる方法というのは存在していない。

 

この思考実験の肝は実在論への批判である。

実在論とは、我々が認識している観念とは別に絶対的な実在物として外の物質が存在していると考える論である。

しかし水槽の脳の思考実験によると、今見ている現実が実在していると考えてもそれを証明する手段は絶無であり、証明しようとすると自己矛盾に陥ると看破したのである。