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ゼノンのパラドックス アキレスは亀に永久に追いつけない

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<a href="https://pixabay.com/ja/users/morzaszum-1241839/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=862274">morzaszum</a>による<a href="https://pixabay.com/ja/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=862274">Pixabay</a>からの画像


ゼノンのパラドクスという哲学的な思考実験がある。

 

その中で、アリストテレスが指摘した、アキレスと亀の競争の矛盾の論議がある。

アキレスと亀が徒競走をしようとしたとする。

亀は遅いのでハンディをもらい、アキレスよりも先の位置からスタートさせてもらう条件で競争した。

勿論アキレスは亀より何倍も足が速いので、常識的に考えればすぐにアキレスは亀に追いつき、そして追い越して勝つだろう。

 

しかし、競争が始まりアキレスが亀がハンディをもらった位置まですぐに着いたとする、その時点で亀は少しだが先に進んでいる。

そのアキレスと亀の離れた距離空間は無限の分割が可能である。つまり亀に追いつくまでには対応する無限の地点を通過しなければならない。そして無限の地点を通過するには無限の時間が掛かるため、永遠にアキレスは亀に追いつくことが出来ない、と思考する議論である。

ja.wikipedia.org

 

今までの現実の経験や見識、あるいは直感で考えればアキレスは亀に一瞬で追いつき、追い越すはずである。しかし哲学的、論理的に考えれば確かに空間というものは無限に分割が出来る。そして無限地点を通過するには永久の時間が掛かることも頭では理解できる。

 

このような矛盾が生じてしまうという議論である。

この矛盾は、そもそも空間が実在するという前提条件に問題があるから生じているとアリストテレスは述べた。

 

空間というものは、人の観念を離れてそれ自体で外部に実在していると仮定すれば、このような無限分割の矛盾が生じてしまうのでおかしくなるというものだ。

それに対し、空間というものは実際に実在はせず、人の観念やイメージにのみ存在する、と仮定すれば無限分割の矛盾を回避することが出来る。

 

前者が哲学的には「実在論」、後者が哲学的には「観念論」と呼ばれる立場となる。

 

このアキレスと亀のパラドクスの思考実験を通じ、アリストテレス実在論には矛盾があり、その結果観念論が正しいのではないか、と問題提起を行っているのである。

 

今までの人生経験や日常生活では空間や物質というのはリアルな体験により実感しており、自明なものに見える。

つまり直感的には空間は実在すると考える実在論の立場が常識的な考えに即しているように思える。

 

しかしアキレスと亀の思考実験では、それでは無限分割による圧倒的に足が速いアキレスは鈍足の亀に永遠に追いつけないという矛盾を引き起こす、とその綻びを鋭く指摘した。